在宅勤務や電子商取引の急拡大、さらに遠隔診療やオンライン授業など、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとして、インターネットを利用する様々なサービスが急成長しています。さらに、「5G」を利用する「IoT」「AI」「自動運転」などといった用途も今後見込まれ、それらサービスの提供に不可欠なデータセンターに対する投資が注目されています。プライベート投資戦略の中で重要なのは、「非金融」を対象とした投資による金融市場との相関性を下げることです。その非金融の一例についてご紹介します。
近年話題のデータセンター投資
需要があれば投資対象となるのが世の常。このためデータセンターを対象とした投資も熱を帯びています。
2020年の国内データセンターサービス市場は 、前年比 2.9%増 の1兆4,518億円となる見込みで、2019年~2024年の国内データセンターサービス年間平均成長率は9. 1%で、2024年には市場規模が2兆1828億円に達すると予測されています。
データセンターが投資として好まれている理由は、高い収益性です。ここ数年の首都圏のオフィスや商業施設、物流施設といった不動産の収益性は高くなく、より収益性の高いデータセンターへ投資が増えるという動きが顕著となっています。
しかし、不動産投資の中でも、オフィスや物流施設、ホテル等の主要アセットと比べると、データセンターの新規開発自体はまだ少ないのが現状です。一部の不動産投資家がデータセンター開発に注力し始めている段階であり、個人投資家にとっては投資案件自体ほとんど見つからないという現状です。
データセンター投資のメリット・デメリット
○利回りが高い
データセンターを利用した最適な収益モデルを構築することで、高い利回りを得ることができます。
○立地の影響を受けづらい
マンションなど住宅用不動産の場合、生活のしやすさのために 、駅から近い物件のニーズが高いですが 、データセンターの場合 、駅からの近さはあまり重要度が高くありません。立地に関わらないため、地価の安い地域の利用も可能です。
✕収益が企業の経営状態に依存する
データセンターの利用のために構築された施設になるため、保有企業の経営状況に大きく依存します。
✕電気代等の維持費がかかる
基本的に24時間高性能コンピューターを稼働させ続けるため、それに伴う電気代等のランニングコストがかかります。
データセンター投資をする方法
①不動産投資
直接、物件を保有します。これは基本的に不動産物件とコンピューターマシンを全て自前で保有する必要があるため、物件選びや電気事業者との交渉、運営、維持、管理まで全て行う必要があります。
また初期費用も数億円~数十億円かかるため、プライベート投資戦略としては全く不向きです。
②REIT
データセンターを保有するREITに投資をすることです。まだ、国内ではデータセンターのみに投資を行うREITは存在しません。また、データセンターを投資対象としているREITも数少ないです。
一方、米国では大きく先行しています。米国REIT市場では2012年以降、データセンター銘柄の時価総額は大きく成長し、2015年12月にはデータセンター・セクターとして独立しています。今やオフィス・セクターの時価総額を上回っています。
③データセンターファンド
投資として最適なのはデータセンターファンドへ投資を行うことです。一つの業者がデータセンターを保有し、保守・運営・管理まで一貫して行ってくれます。また、高額な初期投資も必要なく、個人投資家から機関投資家まで資金を受け入れてくれ、最低投資金額も1,000万円からということもあり、気軽に投資することができます。
プライベート投資戦略では、金融投資と相関性の低い非金融投資をポートフォリオに組み込むことを推奨しています。その中での一例がデータセンター投資です。
急拡大するデータセンター市場の成長を享受することができ、高い利回りも受け取ることができるデータセンターファンドの投資についてまとめました。